久遠の絆

まだ聞いていないことがあるのかと、蘭は頭がくらくらした。


彼女は、これ以上の新事実を受け止める自信がなかった。


けれどイーファンは容赦なく突き付けて来る。


「ガルーダは帝国を倒し、世界の覇権を手にしました。しかし、その総帥であるシド・フォーンは、側近であったヘラルドによって駆逐されたのです」


「ようするに、クーデターだ」


蘭は言葉を失った。


もう何を聞いても、先程よりは驚かないだろうと思っていたのに。


帝国が倒された?


ヘラルドがクーデター?


雪山にいた間に、たくさんのことが変わり過ぎている。


「じ、じゃあ。シドはどうなったんですか?帝国の人達は?」


「シド・フォーンの行方はいまだ不明。帝国の貴族のほとんどが、同盟軍によって粛清されたということです」


「えっ」


蘭は両の掌で口を覆った。


ガクガクと体が震えてくる。


「おい、大丈夫か?」


シャルティが慌てて声を掛けたが、震えは止まらず、顔色も青白い。


「大丈夫かよ?」


問われたイーファンは蘭の傍に歩み寄ると、彼女の両肩に手を置き、落ち着かせるためにゆっくりと撫でた。


「蘭さん。あなたが心配されていることはなんです?誰のことが気掛かり?私に教えて下さい」


優しく優しく言われ、蘭の震えは少しずつ治まって行った。


「さあ、深呼吸して」


顔色がましになったのを見て、イーファンはもう一度尋ねた。


「蘭さん。誰のことを?」


「……帝国の元帥……カイル・アルファラ……」


その名を口にしただけで、胸が苦しくなった。


そんな蘭を見るイーファンの表情は、珍しく険しいものになっていた。