久遠の絆

「蘭はシェイルナータに会ったことがあるのか?」


シャルティは驚いたように目を見開いた。


「はい。あります。わたしの役目を教えてくれたのも、ナイルターシャさまに会えるよう導いて下さったのも、すべてシェイルナータさまだったんですから。
その時シェイルナータさまは、妹であるナイルターシャさまがとても大切だって仰ってました。だから、ナイルターシャさまを騙したり、世界を救えなくしたりするなんて、ありえません」


蘭は強い口調で断言した。


そんな蘭を、イーファンはじっと見つめている。


蘭は、自分の思いを一所懸命受け止めようとしてくれているのを感じた。


だがイーファンは小さく首を振った。


「シェイルナータがこの世でもっとも大切に思っているのは、ヘラルドです。シェイルナータにとっては、ナイルターシャとて、彼のことを繋ぎ止めるための駒に過ぎない」


「そんな!」


「蘭さん。先程もお話しましたが。シェイルナータにとっては、ヘラルドこそが全てなのです」


「……」


芝居好きのシェイルナータ。


あの時のあの姿までもが、芝居だったと言うのか?


蘭は愕然とした。


今まで信じてきたものが、ガラガラと音を立てて崩れていくようだった。


母のようだと思ったシェイルナータ。


その姿までもが偽りだったと言うなら、何を信じればいいのだろう。


膝の上でぎゅっと拳に力を入れる蘭を、イーファンは気遣わしげに見ていた。


「ヘラルドが世界の支配者となった今、一刻の猶予もありません。出来るだけ早く、速やかに行動を起こさなければ」


「ちょっと待ってください。ヘラルドが世界の支配者になったって、どういうことですか
?」


「ああ、そうですね。蘭さんにはまだお話していませんでした」