久遠の絆

「戦争談義をしても詮無い事ということか?」


「この戦いには何らの意味もありません。われわれの役目は、犠牲者を極力最小限に抑えること」


皇帝は傍の椅子に腰掛けた。


「それは、そうだ。だが、戦況が長引けば長引くほど、犠牲者は増えていく」


「はい」


「なんとしても早急に和平協定を結べぶべきだ」


「陛下はずっと、そう主張しておられますね」


「そうだ、この戦争の一因は私にあるのだ。私の至らなさがこの戦を引き起こした」


「……」


「だからこそ、私にはこの戦争を終結させる義務がある」


「そして、われわれに不利な条件で協定を結ぶのですか?」


「なに?!」


「ガルーダの総統は……、シド・フォーンは、通り一辺倒のやり方では聞かない男です。それは陛下も良くご存知でしょう?
だからこそ、この国を出たのち、あれほどまでの国を創り上げることができたのです」


「……………」


「あの娘」


「なに?」


「異世界から連れて来たあの娘を使えばいい」


カイルの薄緑色の瞳に、剣呑な光がともった。


それは、彼を信じようと決めた少女の前ではけっして見せることのない光。


「何をしようというのだ?」


「……シドが出て行った責任は、陛下だけでなく私にもある。だからこそ、どのような手段を用いても、この国を守り抜かなければならない。
そうでしょう、陛下?」


二人の間を沈黙が包んだ。


沈黙の中、二人の視線が絡まり火花を散らす。