***
「私よりも、ヘラルドを愛したというのですか?」
藤色の瞳を哀しみに曇らせながら、イーファンは言った。
星愛は顔を俯かせながら頷いた。
「……私は、あなたが好きです。星愛。あなたがいなくては生きていけない程、あなたが好きです。それでも、あなたはヘラルドを?」
また言葉なく頷く星愛。
イーファンを見ることはなかった。
「分かりました。あなたがヘラルドを選ぶなら、私は身を引きましょう。あなたが幸せであるなら、私は良いのです……」
いっそ、イーファンが彼女の身をかき抱き、星愛の意志など関係なく攫ってくれたなら。
彼女の心は少しは晴れたかもしれない。
けれどイーファンは優し過ぎたのか。
星愛の気持ちを尊重するあまり、見誤ったのだ。
イーファンは去った。
その場に泣き崩れた星愛を知ることはない。
***


