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「そなた、誰ぞ?」
「私はナイルターシャ。ここに来て頂いたのは、他でもない。あなたに大切なお願いがあるのです」
「……」
セイアは丸い目をすっと細め、いっそう強くナイルターシャを睨んだ。
「わらわに願いとは?」
「話せば長くなりますが……」
「構わぬ。言うてみよ」
セイアは着物の襟を正してから、緋の袴をはたいて埃を落とし、またナイルターシャを見据えた。
腰を据えて聞こうという意思表示か。
それを受けて、ナイルターシャは優しげな微笑みを浮かべると、話し始めた。
“瑠璃の巫女としての役割”を。
しばらくして聞き終えたセイアは、神妙な面持ちになっていた。
「我が国でも、飢饉や水害、戦と、良くないことばかりが起こっておる。そなたらの苦しみ、分からぬでもない。我が力が必要とあらば、助力致そう」
彼女は、国を統べる者の娘だった。
ヒメミコとして神に仕える身でもあり、案外すんなりとナイルターシャの話を受け入れたらしい。
そして。
彼女の指に、瑠璃の石の指輪がはめられた。
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