久遠の絆

「ん、ああ、そうだな。君はそこに座るといい」


蘭はシャルティに示された、座り心地の良さそうな布張りの椅子に腰掛けた。


シャルティはそこが彼の定位置でもあるのか、安楽椅子にゆったりと座っている。


他の二人が落ち着くのを見て、イーファンはお茶の入ったカップを差し出した。


「心を落ち着かせる作用のあるお茶です」


「ありがとうございます」


「俺、これ、苦手なんだよな……」


「シャルティは文句を言わない」


「飲まなきゃだめか?」


「出された物はきちんと片付ける。そう、教わりませんでしたか?」


「コーヒーが良かったな」

という、シャルティの望みは無視されたらしい。


イーファンは蘭に微笑み掛けながら、

「体が辛くなったら仰って下さいね」

と、すでにお茶の話題からは離れたようだった。


「はい。ありがとうございます」


「シャルティ。もう、ぶちぶち言わない」


「へいへい」


軽口を言い合う二人の間には、こちらまで楽しくなるような温かな空気が流れている。


まだ少しの時間しか経っていないけれど、蘭はそれを感じ取り、羨ましくなった。


(わたしには、そんな友達、いないもの……)


つい、ひねた気持ちになってしまう。


気分も上がったり下がったりだ。


前向きになった気持ちも、次の瞬間には一歩後退。


その繰り返しだった。


蘭は自分の心を、いまだ制御しきれていない。


もしかしたら、このままずっと、不安定なままなのかもしれないと思うこともあった。


イーファンの出してくれたお茶を、また一口飲んだ。


その時だけは、ふっと心が軽くなるような気がするのだった。