久遠の絆

そうだ。


確かに突然彼は国を捨てた。


彼の部下と共に。


目的も行方もわからず、完全に姿をくらませた。


しかし、なぜ彼なのだ?


帝国と真っ向から敵対する姿勢を見せるガルーダの総統が、なぜ彼でなくてはならない
のか?


「シド・フォーン」


皇帝はかつての親友の名を呼んだ。


カイル・アルファラと共に、青春を悪友として過ごしたシド。


誰よりも理解し合い、理想を共有していた彼が。


「なにゆえ、お前でなくてはならない、シドよ……」


何度となく繰り返してきた、答えの返らない問いを口にする。


彫りの深い整った顔を僅かに歪めて、彼は椅子から立ち上がり呼び鈴を鳴らした。


すぐに近習の小姓が入って来る。


いまだあどけなさの残る少年に、ジュラークⅠ世は指示を与える。


緊張した面持ちの小姓は、聞き終えると深々と頭を下げ出て行った。


「考えねばならないことは、まだある」


自分に自覚させるようにそう言って、ジュラークⅠ世は執務室をあとにした。