久遠の絆

「イーファンさん?」


戸惑う蘭の声に、イーファンはすぐに元の彼に戻り、微笑んだ。


しかしその微笑には憂いの色。


「その男は、ガルーダの参謀ですね」


「ええ。ご存知なんですか?」


「私はガルーダに反旗を翻す者達が集う組織に属しています。ガルーダのシド・フォーンの側近中の側近ですからね。ヘラルドは」


「はい……」


「その男が、あなたに負の感情を追わせようとした。意図は何か、分かりますか?」


「わたしには分かりません。ただ、あの人が怖い。それだけです」


ふむとイーファンは考えるように小首を傾げた。


「あの男の意図するところは……」


「え?」


「いえ。これはあくまで私の推測に過ぎませんが。恐らく、ヘラルドは指輪に負の感情を纏わせることで、この世界を救えなくした。つまりあの男が望むのは、この世界の破滅」


イーファンは力強く言い切った。


彼は推測などではなく、確定的なこととして、そう考えているように思えた。


「でも、あの人はガルーダで世界を支配したいと」


「そうですね」


支配と破滅。


そのふたつは、まったく別のところにあるようだった。


そしてまた、思考に沈むように口をつぐんだイーファン。


その表情は、いっそう憂いの色が濃くなっていた。


明かりの乏しい部屋の中、彼の白銀の髪はなおキラキラと煌めき、憂い顔すら美しく際立たせる。


神に失礼だと彼は言うけれど、やはりその美しさは神にも等しいと蘭は思うのだった。


そんな人をもう一人、蘭は知っていた。


ここに来て、思い出すことが多くなった。


そして、「会いたい」と思う。


「話したい」と思う。


黄金に輝く髪を、優雅な仕草とともに舞う白いマントを。


追いかけたい。