久遠の絆

それをイーファンは、じっと目を閉じて聞いていた。


息切れがしたので蘭が話を止めると、ゆっくりと目を開け、

「山にいる間、あなたのことをまったく感じることができなかったのです」

と言った。


「どういうことですか?」


「邪魔する物。あなたの周りに良くないものがあった」


「……」


「指輪。元は違った色だったのでしょう?」


イーファンの視線が蘭の左手に注がれた。


「……はい」


小さく答える蘭に、イーファンは厳しい目を向けた。


「あなたに負の感情を負わせたもの。それは、誰です?」


「!!イーファンさん……」


「あなたを雪山に置き去りにしたのは?」


「負の感情はわたし自身が出したんです」


「いいえ。あなたは抑えようと思えば押さえられたはずだ。だが、あえてそれを導き出した者がいる。あなたを、指輪を、使い物にならなくしようとした者。それは?それは、誰です?」


蘭の頭の中に、片目を眼帯で覆った男の顔が浮かんできた。


恐怖に体が震え始める。


「蘭さん?」


イーファンが眉をひそめた。


「どうしたのです?」


「ヘラルド」


「え?」


「ヘラルド、です。その人は」


その名前を聞いた途端、イーファンの雰囲気が一変した。


それまでの柔和なそれに、すっと険しい空気が加わったのだ。


「ヘラルド……」


そう反芻した声も硬く、憎しみのようなものさえ含まれているように感じられた。