久遠の絆

戸惑う蘭を他所に、むっつりと口を閉ざすイーファン。


(あのう、もしも~し)


心の中で呼んでみたが、それを感じてくれた様子もない。


(ど、どうしたんだろう……)


自分の何がいけなかったのか考えてみる。


やはり神さまに例えたのが良くなかった?


けれど、そんなことで怒るだろうか。


そうやって、蘭がイーファンのだんまりにびくびくしていると、イーファンがぽつりと呟いた。


「まだ、今は早いですね……」


「え?」


蘭が問い返すと、本当に独り言のつもりだったのか、イーファンは返事が返ったことに驚いたようだった。


「ああ、いえ、こちらの話です。申し訳ありません」


「わたし、何か気に触ること言ったかなあ、と」


「まさか!そんなこと、ありませんよ。私のほうこそ、余計な気を遣わせてしまいましたね。今のあなたにどこまで話したらいいのか、少し迷ってしまったのです」


「……」


「回復を優先すべきあなたには、あまり負担を掛けたくないですから」


「そんなに、すごい話が?」


「すごくはないです。あなたのまだ知らないことを、私が知っている、というだけのことですよ」


「イーファンさんはいったい……」


「それも、おいおい。それより、何故あのような雪深い山に入ったのか、教えて頂けますか?あなたのようにか弱い少女がいるべき場所ではありませんから。あそこで、何があったのですか?」


「……それは……わたしもある所からあまり記憶がなくって……」


「覚えているところだけで。疲れますから、手短に」


そう言われて、蘭はガルーダの兵士によって雪山に置き去りにされた辺りから話し始めた。


猟師によって一度は助けられたこと。


けれど自虐的になっていたために、そこから逃げ出したこと。


そして、雪の中で右も左も分からなくなって、ついには深い穴に落ちてしまったこと。