久遠の絆

「イーファン、さんは、どのくらい知ってるんですか?」


そう問われ、イーファンは一瞬キョトンとしたものの、すぐに破顔して、

「かなり、と申し上げてもいいでしょうね」

と、にこやかに言った。


「かな……り……?」


「ええ。ですが、それはおいおい。まずは、あなたの回復が先です」


「回復……」


「出来ないと思っていますね」


「……」


「出来ます。必ず。会いたい人や、やりたいこと。生きていないと出来ないことは、たくさんあるのですから」


(この人は、わたしが死のうとしていたことも知ってるんだ)


蘭がそう思うと、イーファンはそれに答えるように軽く頷いた。


「あなたは……」


誰?


と問い掛けようとして、声が掠れてしまった。


ナイルターシャのように、シェイルナータのように。


人の知り得ないことを知り、心を読むことの出来る人。


そんな人に救われたということは、自分はまだ死んではならないということか。


そんな蘭の思いをまた読んだのか、イーファンは彼女を力づけるようににっこりと微笑んだ。


えも言われぬ美しい微笑み。


その中性的な面立ちともあいまって、神々しくすらあった。


「イーファンさんは、神さまみたいですね」


「え?」


「神さまが本当にいるなら、イーファンさんのような人かなあと思ったんです」


「神さまに失礼ですよ」


イーファンは困ったような顔をして、そう言った。


「ご、ごめんなさい。イーファンさんを困らせるつもりはなかったの。ただ、雰囲気が神さまみたいだなあと思ったから」


「神さまに会ったことが?」


「え、ま、まさか。ないですよ」


「でしょうね」


そう言うと、イーファンは何故か黙り込んでしまった。