久遠の絆

◇◇◇




意識を取り戻すと、蘭はまず自分の体を確かめた。


見馴れた白い肌だった。


黒いしみなど、どこにもない。


(夢だった?)


いや、夢であるはずがなかった。


ふと目にした指輪の石が黒く変色していたからだ。


黒、というより、清い水に墨汁を落とした時のような混沌とした色だった。


悲しみや憎しみ、負の感情をすべて内包しているような色。


(まるで、わたしみたいだ)


それはその通りなのだ。


ナイルターシャも言っていた。


瑠璃の石は、蘭の感情と共に成長するのだと。


(わたしは、瑠璃の石を壊してしまった)


指から抜き、目の前にかざしてみた。


(やっぱり、わたしなんかが瑠璃の石の守り人になんかなっちゃいけなかったんだ)


ごめんね、と石に語りかける。


応えるように、石はちかちかと瞬いた。


まるで蘭を慰めるように。


「わたしが持ち主で、嫌にならないの?」


すると石はまた瞬いた。


『嫌じゃないよ』


同時にそんな言葉が聞こえた気がした。


「え?」


聞き返してみたが返事はない。


「気のせいだよね」

石が喋る筈はないのだから。


「まだ、弱ってるんだな……」


身も心も疲れ切っているのだ。


「わたし、どうなるんだろう」


死よりも苛酷な空間に閉じ込められ、そこで“生きたい”と望む自分がいた。


そして、かの人の面影。