久遠の絆

真っ黒になってしまった蘭の体。


それを見て、喜びに震えている、父親。


真っ黒な二人。


蘭は瞼を閉じた。


深い睡魔が彼女を襲ったのだ。


眠ってはいけないと、ぎりぎりのところで踏み止まる。


(わたしはあなたと同じになったということ?)


あれほどに憎んだ父と、同じ?


(冗談じゃないよ……。あんたはどこまで、わたしを思い通りにしたら気が済むんだ?)


そう思った時、指のある一箇所がふっと温かくなったような気がした。


感覚を総動員して、その温もりが何か確かめようとした。


(これは指輪だ)


左手の薬指の指輪。


瑠璃の石の指輪。


この世界を救うべき者が着ける指輪。


この世界を……救う……。


(わたしは何をしてる?わたしは……)


瞼を閉じた向こうで、父親である男の狼狽した声がした。


それから、聞いた事のない人の声。


どうしたのかと目を開こうとした時、眩い光が彼女を包んだ。


(あ、何?)


急いで起き上がろうとしたが、体が重くて無理だった。


その体を誰かが持ち上げた。


状況が分からず戸惑う蘭を、その人は壊れ物を扱うように抱いていた。


閉じた瞼を通して、その人の息遣いが聞こえる。


規則正しく温かなそれは、強張っていた蘭の心と体を癒してくれた。


(ああ、優しい。この人はまるで……)


その時蘭の胸に去来したのは、黄金の髪をした青年の面影だった。


何故、今までこの人のことを忘れていられたのだろう。


(会いたい)


かつてないほど強く、そう思った。


そして、蘭は抱えられたまま、光の中に飛び込んだ。