久遠の絆

真黒い男の真黒い手が、少女へと伸ばされた。


シャルティは慌てて声を張り上げた。


「待てよっ!」


だが男の動きは止まらない。


シャルティの声が聞こえないのか、聞こえていて無視しているのか。


彼を見ようともしなかった。


男の手が、少女の白い肌に触れた。


すると途端に触れた部分が黒く染まった。


次々と白から黒へと変わっていく少女の身体。


腕。


足首。


首。


腹。


乳房ーーー。



「おいおい。止めとけって……」


この子がイーファンの言っていた少女なのだとしたら、一刻も早く助けなければならない。


手をこまぬいている余裕はないのだ。



でも、どうすればいい?



短銃の弾など効きそうにない相手だ。


ならば素手?


そもそも生身の人間が敵う相手なのか?



逡巡するシャルティの目の前で、少女の身体の白い肌はもう顔だけになっていた。


「やるしかないんだよ」


シャルティは跳んだ。


黒い男に向かって。


互いが触れ合うか触れ合わないかの所で、二人の間に電流が走った。


まるで静電気のようにバシッといって火花が散り、シャルティも弾き飛ばされた。


地面に叩き付けられ一瞬息が止まったが、すぐに立ち上がり黒い男を見た。


すると黒い男もまた、シャルティを見ていた。


この時初めてシャルティの存在を認識したとでも言うように、彼を凝視している。


だが、それだけだ。


見つめるばかりで動こうとしない。


「ったく、何だってんだ?」


近付けば弾き飛ばされる。


少女を奪取する手立ては無くなってしまったかのようだった。