久遠の絆

「そんな!俺はシャルティさんと一緒に行きたいですっ」


「ダメだ」


「シャルティさん!」


彼らの関係は主従ではなく、極めて対等だった。


指揮系統の上下はあったが、反論も進言も許されている。


だが、この時のシャルティはロムに有無を言わせなかった。


「これは命令だ、ロム。お前はここに残って、先遣隊と連絡を取り合ってくれ。各班の位置を特定し、イーファンに報告を。彼に精査してもらうんだ」


「……」


「イーファンがここまで少女の気配を探れないのは、かなり命の危険があるということかもしれない。一刻を争うんだ。お前をここに残すのは彼女のためでもあるのだよ」


「……」


ロムはきゅっと唇を引き結んでいたが、ややして「わかりました」と搾り出すように呟いた。


それが自分の今の役目であるなら。


否やを唱えることはできなかった。


「イーファンさんに各班の位置を伝え、彼女の気配を探って頂くんですね」


「うん。頼む」


ようやくロムに笑顔が戻った。


「でもシャルティさん。くれぐれも気を付けて下さいね。何かあれば、すぐに教えて下さい」


「ああ、分かった」


そう。


一緒に行けば、ふたりともが帰れなくなるという事態にも成り兼ねない。


そうならないためにも、自分は後方支援に回っておいたほうがいい。


ロムはようやく自分の役目というものを理解出来た気がした。


「じゃ、行ってくる」


近所に散歩に行くくらいの気軽さで言って、シャルティは雪原を頂上へと続く尾根の方へ向かって歩き始めた。


まだかなり歩かねばならない。


一歩一歩新雪を踏み締めながら行くシャルティを、ロムは見えなくなるまで見送っていた。