久遠の絆

山の高度が上がるにつれ背の高い木は見られなくなり、景色は一面の雪原となっていった。


「この辺りが峠と言えばそうなるか……」


立ち止まり、見渡せば、雪原の向こうは下りになっている。


砂漠側からガルーダ側へ。


とうとう、そんな所まで来てしまったのだ。


「先遣隊はもう峠の向こう側です」


先程無線で連絡を取ったロムがそう言った。


木がなくなってしまったため、目印を付けることが出来なくなり、無線を使うしかない。


だが、それは敵に傍受される危険もあるということだ。


だからなるべく無線を使いたくはなかったのだが、連絡手段がそれだけになってしまった状況では仕方のないことだった。


「こちら側は調べ尽くした、ということか……」


ローラー作戦のように、いくつもの隊が間隔を開けて山を登ったのだ。


いくら巨大な山脈と言っても、あらかた調べられたはずだった。


人の行ける場所は。


年端の行かぬ少女が、切り立った崖や奈落のような谷に足を向けることはない。


そんな考えから、一応人の手が入っていると思われる区域のみを先遣隊は捜索していたのだ。


「俺達も峠を下りますか?」


言いながらロムがそちらの方に足を向けた。


けれどシャルティは動かない。


「シャルティさん?」


頭ふたつ分程は背の高いシャルティをロムは見上げた。


いつもの彼らしくない。


ただ一点だけを見つめ、微動だにしないシャルティ。


何やら思い詰めてでもいるのか、張り詰めた空気が、ロムに声を掛けることを躊躇わせた。


ややしてシャルティの瞳が瞬いた。


ようやくこちらに意識が戻ってきたのか。


凝視していた視線をロムへと向ける。


「ロム。あそこに向かう」


「え、どこですか?」