久遠の絆

◇◇◇





雪が深い。


とにかく雪ばかりだった。


シャルティとロムは、新雪に膝まで埋もれながら歩いていた。


想像以上にきつい。


鍛え上げた逞しい足が、すでに棒のようになっていた。


(こんな山を少女が?)


そう思うにつけ、絶望感がシャルティを襲うのだった。


そんな暗い気持ちを、ロムの言葉が後押しする。


「生きてるわけないよ……」


振り向いたシャルティに、ロムは(しまった)という顔をしてから、引きつった笑いを浮かべた。


少女が生きていることを否定してしまったことを、シャルティに叱責されると思ったのだろう。


だがシャルティは「そう思うのも仕方ないな」と言って、ふっと笑った。


「……」


「大の男がこれ程苦労する山だ。年端の行かない、それも少女ときたら、命の危険を思っても仕方ない。それでも、な、ロム」


「は、はい」


「俺達は彼女を見つけなきゃいけないんだ」


「……」


この時ロムは、シャルティのイーファンに対する信頼とか絆とか、そんな目に見えないものが見えた気がしていた。


こんな状況の中、絶望的な思いに捕われながらもシャルティが歩みを止めないのは、イーファンへの深い信頼があるからに他ならない。







雪を踏みしめながらの、ゆっくりとしたスピードに苛立ちを覚えながらも、ふと目をやった木に大事な物が付いているのを見逃すことはなかった。


「シャルティさん!」


「ああ……あいつらもこの辺りは探したらしいな」


木の幹に巻かれた赤い紐。


それは先に山に入った捜索隊の残した目印だった。


「俺達ももっと山に入ろう」


シャルティはこの辺り一帯に赤い紐が付けられていることを確認して、さらに山深くへと入って行った。