久遠の絆

「やはり明日、出発するよ」


急ごしらえの釜で焼かれたパンを頬張りながら、シャルティは誰に言うともなく言った。


少し硬めに焼きあがったパンは、それでも香ばしくて美味しかった。


この野営地に残っている5人部下たちは、皆一様に神妙な面持ちになっている。


「おい、おい、どうしたんだよ」


「だって、シャルティさん」


「ん?」


「さっき俺が言ったこと、覚えてます?」


出迎えてくれた若者だった。


「ああ……覚えてるよ」


「だったら!」


「だがな、俺は行かなきゃならない」


「でも!」


「お前たちの気持ちは痛いほどよく分かる。いや、分かってるつもりだ。俺を頼ってくれてるって事もな。もちろん、お前たちを路頭に迷わすような真似はしないよ、絶対に。だがな、今助けを必要としてる子がいるんだってことを忘れないでほしい」


「……」


「その子は、帝国と同盟にいいように使われた挙句に放り出されたらしいってことは、お前たちにも話したよな。だったら、助けてやらなきゃいけない。俺たちは何のためにここにいる?現政府に苦しめられている人たちを救う為だ。その子も、同じだよ。なら俺が動かずしてどうする」


「……」


「心配してくれる気持ちは有り難いよ。でも、俺には俺の役目があるんだ」


部下たちは互いに顔を見合わせた。


こんな人だから。


こんな熱いものを持った人だから、自分たちは付いていこうと決めた筈だった。


この人なら、何か違う物を見せてくれるかもしれない。


そう思ったから。


「分かりました」


ややして部下の一人がはっきりとした口調でそう言った。