久遠の絆

「だって、シャルティさんは大事なお体ですから」


「俺は、嫁入り前の娘かよ」


「そういう意味じゃなく、シャルティさんにもしも何かあったら、俺たちが路頭に迷うって言うんです」


「……」


「雪山に行って遭難したらどうするんですか?」


「……俺はいつから、そんなに過保護に扱われるようになったんだ?」


「茶化さないで下さい。みんな、シャルティさんだからこそ、付いて行ってんですよ。シャルティさんだから、ここにいるんです。あなたは後方ででんと構えてて下さればいいんです」


部下の切実な思いがひしひし伝わってくる。


その思いは痛いほど良く分かった。


皆、自分の理想論に引かれて、この組織に集ってくれた若者たちだった。


けれど自分だけ何もしないでいるのはやはり性に合わない。


いつでも、どんな時でも先頭に立つ。


それがシャルティの姿勢だった。


荷物を所定の位置に下ろすと、彼は部下と別れ、オアシスの小さな池のほとりに立った。


小さな小さな池。


でも、その底からは生命を育むのに十分な湧き水が湧き出している。


濁りのない、綺麗な水。


これは山脈の雪解け水が地下を通って、ここに湧いているのだ。


シャルティはその水を少しすくい、口に含んだ。


冷たくて、甘い。


自然の恩恵だった。


こんな小さな池なのに、これ程の水量の湧き水を要している。


そして緑豊かなオアシスを育む。


(俺は、このオアシスの池のようになりたい)


広大な砂漠においては見落としてしまいそうな小さな池なのに、絶えることのない水が湧き、生命を育む。


この池のように。


若者たちの生きる道筋を示してやれるなら。


彼らが自由に、思いのままに生きていかれるような導いてやれるなら。


(俺は、小さな池でいい)