「入るぞ」
そう短く言っただけで、ノックもせず扉を開いた。
その部屋は、明るいホールに比べて、極力明かりを落としてある薄暗い部屋だった。
「遅くなった」
シャルティが声を掛けると、ランプの光の当たらない場所にいた人影が身じろいだ。
「いえ……長い旅程、お疲れになったでしょう?」
ゆっくりとした足取りで、その人は明かりの下まで出て来た。
優しい物言いといい、高い声音といい、女のそれと間違えてしまいそうだが、その人は外見も女性と見まがうばかりに美しかった。
腰の辺りにまで伸びた白銀の髪。
瞳は藤色。
柔らかい笑みを湛えている口元は、紅を差したように赤かった。
醸し出す雰囲気も合わさって、とても神秘的な印象を受ける人だった。
男らしい体躯のシャルティとは、まったく対照的だ。
そんな普通なら一歩引いてしまうような存在を前に、シャルティは親友に対するような気安さで、
「いや、このくらい俺にとっては散歩と同じだ」
とぞんざいな口ぶりで応じた。
「そうですか……。それで、手掛かりは?」
「それが、あと一歩の所で途切れてしまうんだ。皆必死でやってくれてるんだが……」
ふたりは同じように沈鬱な面持ちになった。
「時間がないんだろう?」
「……恐らく」
「ああっ!どうしたもんだかな」
シャルティはお手上げとばかりに両手を挙げて、脇にあった椅子に体を投げ出した。
「シャルティ」
「ん?」
「苦労をかけますね」
女のように柔和な顔を歪めて言った。
そう短く言っただけで、ノックもせず扉を開いた。
その部屋は、明るいホールに比べて、極力明かりを落としてある薄暗い部屋だった。
「遅くなった」
シャルティが声を掛けると、ランプの光の当たらない場所にいた人影が身じろいだ。
「いえ……長い旅程、お疲れになったでしょう?」
ゆっくりとした足取りで、その人は明かりの下まで出て来た。
優しい物言いといい、高い声音といい、女のそれと間違えてしまいそうだが、その人は外見も女性と見まがうばかりに美しかった。
腰の辺りにまで伸びた白銀の髪。
瞳は藤色。
柔らかい笑みを湛えている口元は、紅を差したように赤かった。
醸し出す雰囲気も合わさって、とても神秘的な印象を受ける人だった。
男らしい体躯のシャルティとは、まったく対照的だ。
そんな普通なら一歩引いてしまうような存在を前に、シャルティは親友に対するような気安さで、
「いや、このくらい俺にとっては散歩と同じだ」
とぞんざいな口ぶりで応じた。
「そうですか……。それで、手掛かりは?」
「それが、あと一歩の所で途切れてしまうんだ。皆必死でやってくれてるんだが……」
ふたりは同じように沈鬱な面持ちになった。
「時間がないんだろう?」
「……恐らく」
「ああっ!どうしたもんだかな」
シャルティはお手上げとばかりに両手を挙げて、脇にあった椅子に体を投げ出した。
「シャルティ」
「ん?」
「苦労をかけますね」
女のように柔和な顔を歪めて言った。


