久遠の絆

「また、だめでしたか?」


若者は眉根を寄せてそう言った。


「ああ……皆よくやってくれているんだが……」


シャルティは愛馬の綱を若者に渡しながら、沈鬱な面持ちで言った。


「そうですか……」


素直についてくる馬を確認してから、若者は少し表情を和らげて、


「でもあの方がまだ大丈夫だと仰っていますから」


と、シャルティを励ますように言った。


「……ああ、まあ、そうだな」


それでもシャルティの渋面が緩むことはなかった。


それきりふたりが言葉を交わすことはなく、彼らはさらに奥へと進んで行った。


やがて穴は徐々に広くなっていき、長身のシャルティでも窮屈そうではなくなっていった。


そして、ひときわ広い空間に辿り着く。


そこは大人が何十人でも入れそうな場所だった。


天井はドーム型に整えられていて、明らかに今まで通って来た穴とは違っていた。


若者はそこで馬の手綱を、そのためにしつらえてあるのだろう、壁に渡された横木にくくり付けた。


シャルティはそのまま広間を横切り、通って来た穴とは反対側にある木の扉を押し開けた。


若者は馬の手入れをするために、そのままその場に残るようだ。


シャルティひとりが、扉の向こうに消えた。


扉を入ると、さらにそこは洞穴の中とは思えないほどの光に満ちていた。


どこかに明り取りの窓があるのか、それとも、そこはすでに洞穴とは別の空間なのかもしれなかった。


そんな明るい吹き抜けのホールには、たくさんの人がひしめいていた。


ざっと20名はいるだろうか。


それぞれシャルティを見つけては、何かしら声を掛けてくる。


シャルティはその声に対し無難に受け答えしながら、さらに奥へと歩を進めて行く。


そしてホールの一番奥。


飾り気のない木の扉の前で、ようやく足を止めた。