久遠の絆

衝撃が強すぎて。


胸に響きすぎて。


カイルの言った言葉が頭の中で反響する。


そして残酷な過去が洗い流されていくような、そんな感覚を覚えていた。


「さあ、お茶のお代わりを差し上げましょう」


努めて明るい声で言いながら、アンがカップにお茶を注いでいく。


それに少し救われたような気分になって、


「なんだか湿っぽくなっちゃったね」


そう言ってごまかした。


「ねえ、カイル。カイルも戦争に行く事ってあるの?」


話題を変えるように切り出した


「今戦争をしているんでしょう?」


「それは蘭さまがお気になさることではありません」


「でも、こうしてゆったりしている間にも戦いは続いていると思ったら……」


「お優しいのですね」


「え?」


「蘭さまはお優しい。しかし今は余計なことに煩わされることなく、日々を穏やかに過
ごしていただきたい。心身ともにゆっくりとお休みいただきたいと思っているのですよ」


「……」


余計なこと……。


たしかに蘭にとって、この世界で起きている戦争は一切関知しないことだった。


けれど今こうしている間にも傷付いている人たちはいる。


それをまったく気にするなと、カイルは言うのだろうか。


「ねえ、カイル」


「はい」


「わたしはいったい何のためにここに連れて来られたの?」


それは何度か彼に問い掛け、はぐらかされてきた問いだった。