私は、あの方が生きていると、知っている。
「希望はまだ失われていない」
「そ、そうですよ。だから元気を出して」
「ああ、そうだった。私はあの方の元に行かなければ……」
「え?」
一瞬ぎょっとした顔をして、ニアスはカイルを見つめた。
この期に及んで、まだ天国に行きたいなどと言うのだろうか。
「ニアス。蘭さまは生きておられる。生きて、ガルーダの主都におられるのだ」
「ええっ!!?」
驚愕に眼を見開くニアスを見て、カイルはかすかに微笑んだ。
この薄暗い部屋の中で、ようやく目にすることの出来たカイルの柔らかい表情に、ニアスは蘭が本当に生きているのだと確信した。
「で、では、カイルさま。ガルーダに行かれるのですね?」
「行く」
カイルは強い意志のこもった瞳でニアスを見返した。
それは何もかもを失った男が見出した、ただひとつの目標だった。
希望だった。
「僕も一緒に行きます!」
ニアスは力強く言い切った。
「苦労を掛けるな」
「いえ。僕はカイルさまのお傍にいたいだけですから」
「そうか……」
感慨深げに呟いたカイルは、もう世捨て人のようではなかった。


