久遠の絆

そうしてグレン中将が部屋から一歩出た時だった。


小さな掘っ立て小屋のような家の中を、すごい勢いで走ってくるものがあった。


「おい、おい、そんなに走ったら家、つぶれるぞ」


思わず中将は呟いた。


そして中将にぶつかるようにして止まったのは。


「お、坊主じゃねえか」


「坊主じゃありません。ニアスです」


少し息を切らしながら、むっとした表情で中将の目の前に立った少年兵は、睨みつけるように自分よりもずっと大きな熊を睨みつけていた。


「ふん、一本筋の通ったような面しやがって」


憎らしげにそう言うと、中将は少年の肩を抱いた。


「お前さんが来てくれて良かったよ。カイルっち、けっこう弱ってんからな。側にいてやってくれ」


「……はい」


思いのほか素直に答えたニアスの顔を中将は覗き込んだ。


「元帥のことが絡むと、突っかかってこないんだな?」


「何言ってんですか。突っかからなければならないようなことを、あなたが仰るからでしょ」


「ふ……そうだったか?お前さん見てると、ついいじめたくなっちまうんだよな」


「悪趣味」


「ははは」


憮然とするニアスの肩をポンポンと叩くと、中将は大口を開けて笑いながら別室へと入って行った。


「ったく。相変わらずなんだから」


中将が入っていった部屋の扉を少しだけ睨むと、ニアスはためらいがちにカイルの病室の扉をノックした。


返事はない。


そろそろと開けると、部屋はカーテンが引かれ薄暗かった。


その中に調度としてひとつだけ置かれた木製のベッドに、彼の崇拝してやまない元元帥が横たわっていた。


「カイルさま……」