久遠の絆

「私がなしてきたことは何だったのか……。これだけ多くの人命を失い、結局国をなくしてしまった。元帥としての私に課せられた使命を何ひとつ果たすことが出来ずに、私は……!」


カイルはそのまま手で目を覆ってしまった。


嗚咽は聞こえない。


けれど悲しみが全身から伝わってくる。


彼のそんな姿を見て、グレン中将は胸を痛めた。


「今は体も気持ちも弱ってるんだよ、カイルっち。ゆっくり休めば、またなんかいい方向が見えてくっかもしれないしさ。な、だから今は休め」


「……」


「ジュラークさまやアニーシャさまや貴族の奴らは、地下シェルターに避難してて無事だったって言うしさ。再起を図ろうと思えば、いつか何とかなるかもしれないし。まあ、あくまでも『かもしれない』っていうだけなんだけどな」


目を覆う腕の向こうで、カイルがどんな表情をしているのかまったく分からない。


自分の言葉がどれだけ彼を慰めているのかも、グレン中将には分からなかった。


気休めだけの言葉でしかないことは重々承知していた。


でも言わずにはおれなかったのだ。


ここまで打ちひしがれている姿を、彼が人目に晒すことなど今までなかったことだから。


なんとか元気付けたい、中将はそういう気持ちになっていた。


そのような中将の気持ちはカイルにも当然伝わっていた。


けれど。


今は何を言われても自分を責めることしかできなかった。


「カイルっち、休めよ」


中将の言葉も、胸に留まることなく通り過ぎていく。


「ん、じゃあ、俺はあっちの部屋にいるからさ。なんかあったら呼んでくれよ」


中将はとうとう慰めることを諦めたのか、そういい残して立ち去ろうとした。


カイルには休養が必要なのだ。


心も体も弱っている今は、何を言っても彼には届かない。


しばらく休めば……。


また凛として、揺らぐことのないカイルに戻ってくれるだろう。