久遠の絆

「おう、気が付いたみたいだな、カイルっち」


そう言うのと同時に、熊のような顔が目の前ににゅっと現れた。


どうもこの部屋は極力明かりを絞ってあるらしい。


「もうずっと目が覚めないんじゃないかって、心配してたんだぜ」


「私は……いったい?」


「ん?なんだ、覚えてないのか?」


「ええ、船の中にいたことまでは覚えているのですが、それ以降がどうも……」


不安げに言うカイルを、グレン中将は気の毒そうに見返していいる。


「よっぽど、堪えたみたいだな、カイルっち」


「堪える?どういうことです?」


グレン中将は何かを言いあぐねているようだった。


「中将?」


「でも、まあ、カイルっちが知らないままってのも、どうかと思うしな」


と独り言のように呟いた。


「何です、中将。何があったんですか?」


グレン中将は意を決したようにカイルを見た。


「いいか、カイルっち。こんな状態のあんたに、本当はまだ話したくないんだが、でも言わなけりゃ、あんた、余計気に病みそうだしな。なるたけ落ち着いて、聞いてくれよ」


「随分、良くない話のようですね」


この熊の中将がこれ程ためらうのだから。


「まあ、良くはないよな。……カイルっち、帝国はもうこの世には存在しない」


「……」


驚愕に目を見張るカイルに、それでもグレン中将は話を中断することはなかった。


すべてをつまびらかにしてこそ、カイルのためになる。


そう思っていたからだ。


「同盟軍が主都を陥落させて、ついに帝国は奴らの手に落ちたよ」


「……私は……何をやっていたのです?」


「カイルっちは、俺が間一髪のところで助けたんだ」