久遠の絆

◇◇◇





口の中で何かの味がする。


それが何かを確かめたくて、彼は意識を取り戻した。


(これは……血の味だ……)


けれど何故口の中でそのような味がするのか分からなかった。


いや。


分からない、というよりも思い出せないのだ。


ここがどこなのかも、自分がどうしてこういう状態でいるのかも。


肝心なことは何ひとつ、思い出せなかった。 


起き上がろうとすると、肩に鋭い痛みが走り、彼はまた敷物の上に倒れこんで悶えた。


今まで肉体に大きな怪我をしたことのない彼には、耐え難い痛みだった。


「な……にが、あったんだ……?」


意識が覚醒するにつれ、肩だけでなく、腕や足にも打撲のような痛みを感じ始めた。


それは全身に及んでいった。


痛みを逃そうと深い息を繰り返しながら、彼は敷物の上にじっと横たわっていた。


すると、何かの気配を感じた。


そちらの方に頭をゆっくりと巡らすと、扉があって、誰かが開けようとしているところだった。


薄暗い部屋に、光がさっと差し込んできた。


彼は眩しくて、一瞬目を閉じた。


目が慣れてくると、扉から大柄な男が入ってきたのを知る。


「誰だ?」


身構え、問いただすと、

「いやだなあ、カイルっち。怖い声出さないでよ」

と、何とも気の抜けた返事が返ってきたのだ。


「グレン中将……?」


その口調と声には確かな覚えがある。


けれど彼は何故か半信半疑で問い返していた。