久遠の絆

「な……に……?」


「お前は私の傀儡に過ぎぬ。ここまで使ってやったのは、お前が人心を掌握する術に長けていたからだ。カリスマ性だけで、他は無能なお前を使ってやっただけでも有り難いと思うがいい」


ヘラルドの言葉には明らかにシドを馬鹿にした響きがあった。


さらに。


「命だけは助けてやるから、さっさとここから立ち去るがいい」

と言葉を続けたヘラルドに、シドは飛び掛ろうとした。


だが、兵たちが一斉に足元に銃弾を打ち込んだために、動くことすら出来ずに終わった。


「無駄なことはやめておけ。せっかく殺さずにおいてやろうと言うのだから。私の寛大さに感謝しろ」


「くっ……」


手も足も出せない自分が、シドは情けなかった。


歯噛みする思いの中で、何とか事態を打開する手立てはないかと逡巡する。


しかしそれすらも、ヘラルドにはお見通しのようだった。


「しつこい奴だ。何をやっても無駄だといっているだろう?」


「……」


「ああ、そうだ。お前にせめてものはなむけをやるのを忘れていた」


「……はなむけ?」


「そう。お前が無くした記憶を返してやる」


「何のことだ?」


「ふん、自分が記憶を失っていることも気付かないで、よくのうのうと生きておられるものよ」


「だから、何のことだと聞いている!!」


「こういうことだ」


ヘラルドが右手をさっと振った。


途端、激しい頭痛がシドを襲う。


今まで感じたことのない痛みに、シドは耐えられず床に突っ伏した。


(いや、前にも感じたことがある?)


そう思いながら、苦痛に顔を歪めた。