久遠の絆

記憶の中にぽっかりと開いた穴があることが気持ち悪かった。


それを無視して、ここまで来た。


けどその穴の向こうから呼びかけてくる者があって、それがシドに『自らの行いを考えよ』と促しているのだった。


「シドさま」


瞼を閉じていたのを、無理にこじ開け、部下を見た。


「なんだ?」


「この母艦を先頭に主都に入りたいと思います。凱旋さながらに」


「好きにしろ」


「は」


だが考えようとすればするほど頭痛は酷くなり、彼にそうすることをやめさせるのだ。


シドは今、ヘラルドの言いなりだと言ってもいい。


ヘラルドはシドに指示を仰いでいると見せかけて、その実、自分の考えですべてを動かしているのだった。


同盟軍艦隊が前進を始めた。


数艦残っただけの帝国軍もすでに拘束されている。


もはや同盟軍の前進を止めるものはない。


ほどなくして同盟軍の本隊が主都に到着して、勝利を宣言するだろう。


そして、同時に、長い間この世界の覇者であった帝国は、その歴史に幕を閉じるのである。


それに抗うはずの帝国軍元帥カイル・アルファラは、ここにはいないーーー。