久遠の絆

そこにあった物がすべて失われた。


艦船も、人も。


そこにあった命がすべて無くなった。


これを見て胸が痛まない人間はいないだろう。


だが。


同盟軍母艦にて高見の見物を決め込んでいたふたりは、その”胸が痛まない”部類に入っていた。


「見事に消し飛んだじゃないか」


シドが感動を露わにして、そう言えば、


「まさにこれこそ究極の兵器。これによって戦争を短期間で終わらせることができるようになりましたな」

と、自らが開発した殺人兵器を自画自賛した。


「主都も、皇宮並びにそれに付随する施設を消失したとの報告が」


「そうか。これで帝国軍、そして主都は壊滅。もはや帝国は国として機能できない。”終わり”だ」


「はい」


「民間人にほとんど犠牲を出していない我々が新たな統治者となったとしても、それほどの弊害はあるまい」


「その通りだと思います」


「同盟軍はこれより全速前進。首都に入り、統治者の交代を宣言する」


「御意」


恭しく頭を下げたヘラルドは、総帥の意思を全艦隊に伝えるべく司令官席を離れた。


いつもよりも声高に指示を飛ばすヘラルド。


それを見ながらシドは微笑を消し、少し疲れた表情を見せた。


ガルーダにいた時から続く頭痛が、密かに彼を苦しめていたからだ。


(何故こんなに頭が痛むのか……)


表情を歪めてこめかみを押さえるシド。


ヘラルドと話している時にはあれほど喜びを見せていたというのに、今の彼にはその余韻はまったく無い。


むしろ逆だった。


(俺のやっていることは、本当に正しいことなのか?)