久遠の絆

あれほどの攻撃を受けたというのに。


絶望感が帝国軍全体を覆った。







「カイルっち」


不意に聞きなれた声を背後から受け振り返ると、そこには熊面のグレン中将がいた。


「……ご自分の艦隊を放棄したのですか?」


カイルはつい憎まれ口を叩いてしまった。


「まあまあ、そう突っかかるなよ。カイルっちらしくもねえ」


「……」


ぷいっと視線を外すカイル。


そんなカイルの肩に、グレン中将はやんわりと腕を回した。


「ひとりで戦ってますって顔をしてるぞ」


「え?」


ひそひそと耳元で掛けられた言葉の意味が分からず、カイルは思わず素っ頓狂な声を上げていた。


「全部ひとりで背負い込む気でいるんだろ?その必要はねえんだよ」


「……それが、私の役目ですから」


「相変わらず、頭でっかちの頑固もんだなあ、カイルっちは」


「頭でっかち……」


「いいか?ここにいる全員が帝国を何とか守ろうって、そんな気合で当たってるんだ。お前さんひとりだけが重荷を背負うことはないんだよ」


「……」


「まあ、立場が立場だけど。その立場を引っぺがしたらさ、結局みんな同じ帝国国民なんだ。同じように国を愛する、な」


「……」


カイルは肩に回された熊のような腕を、ゆっくりと外した。


「カイルっち」


「中将の仰る意味はよく分かります。しかし、私はあくまで軍の最高司令官であって、そう言った意味では皆とは立場がまったく違う。やはり背負う物は違うのですよ」


グレン中将は呆れたように深く息を吐いた。