久遠の絆

◇◇◇








その前線からはだいぶ離れた空域を、大型の艦船が前進している。


周りを数隻の護衛艦に囲まれ、またその後方にはさらに大きな艦船が追随していた。


その艦隊は海を渡って来たのだ。


南の大陸から。


一路帝国の首都を目指し前進を続けていた。








「たった今、元帥の乗る母艦が前線に向かったとのことです」


淡々と告げる隻眼の部下に、漆黒の青年は軽く頷いただけで前方のスクリーンから視線を外すことはない。


「これで役者はそろった、と言ったところですか」


「ふん。もはや我々の勝利は明白だというのに、今さら元帥が出てきたところでどうなるもんでもねえだろ」


「左様でございます。ですが、総帥に侵略の楽しみを味わって頂きたいと思いまして」


「趣味が悪いぞ、ヘラルド」


そう言いながらもシドは、満足そうな笑みを浮かべている。


「帝国の元帥を一方的に血祭りに上げれば、これからの統治に箔が付くというものだ」


「ためらいは、ございませんね?」


「ためらい?何をためらうというのだ」


「停戦協定を無視して攻撃を再開したこと。そして帝国を滅亡させることに」


「ヘラルド」


「はい」


「俺は今まで何を目指して戦ってきたんだ?帝国を滅ぼすことじゃなかったか?何で今さらためらわなきゃいけないんだよ」


「それで、もしも元帥が命を落とすことになっても?」


「愚問だ、ヘラルド。元帥こそ帝国の象徴。それを死に至らしめて喜びこそすれ、悲しむなんてことがあるか?
積極的に元帥の首を取れ」


「御意」


頭を垂れるヘラルドの顔が、にやりと不気味に歪んだ。