久遠の絆

「ない……」


見下すにもほどがある。


協定を破棄するならするで、何がしかの通達があってしかるべきだ。


それをしないで攻撃を再開したのだとすれば。


「シド、何を考えている?」


彼が人としての誇りすら捨ててしまったのだとは思いたくなかった。


シド・フォーンが誰よりも気高く、清廉な心の持ち主だと知っている。


「何があった?」


カイルはかつての親友に問い続けた。






同盟軍は首都の目の前まで迫っている。


交戦せざるを得ない状況でありながら、カイルはそれでもシドを信じたかった。


約束事を無視してまで攻撃をするような奴ではなかったと。


信じたかった。






「前線より通信

同盟軍の第一波、圧倒的な火力を持って我が軍をせん滅。前線を突破」



「首都近郊の数箇所の町が同盟軍の攻撃により壊滅状態。生存者不明」



「同盟軍艦隊。多方面から首都に向け進軍中との情報。まもなく首都を包囲」



「同盟軍、艦隊・武力ともに帝国軍を上回り、帝国軍艦隊苦戦とのこと」



「首都への攻撃、確認」






次々と入る前線からの通信はすべて絶望的なものだった。




「同盟は用意万端で臨んでますって感じだぜ」


グレン中将が緊張感なく、そう報告した。