久遠の絆

ややしてかすれた声でそう問い掛けたカイルに、ジュラークⅠ世は、

「本当に存続できるならそれに越したことはないが。だが過剰な犠牲は必要ないと思っている。……アニーシャにお前との結婚を勧めているのは、純粋に兄としての思いからだけだ。アニーシャにとって、お前以上の伴侶はいないだろう。そこにお前の即位をするという決意が合わさっただけのことだ。
だから……お前が心を偽ってまでアニーシャと結婚し、その上で皇帝になるというなら、そこまでしなくてもいいと言ってるんだ」


カイルは元皇帝自身の心も揺れているのを感じた。


彼も国の存続を望みながら、妹の幸せを願う兄としての気持ちもそこにあって。


その狭間で揺れ動いているようだった。


「たとえ、アニーシャさまとの結婚がなくなったとしても、私はこの身を国に捧げると決めています。どのような形であれ、帝国のために尽くすと」


「それは何度も聞いたが……。自分自身の幸せを求めようとは思わないのか?」


カイルが息を飲んだのが分かった。


彼とて一人の人間だ。


望まないはずはない。


けれど結局カイルはかぶりを振った。


「私の存在は帝国があってこそ。そこに私の幸せがあると思っています」


「……堅物が……」


憎まれ口を叩くジュラークⅠ世を、カイルは微笑みながら見返した。


「堅物でけっこう。これが私の信念ですから」


「ふん、もういい。勝手にしろ」


「では、そうさせて頂きます」


ジュラークⅠ世の元を辞してから、カイルはその足でアニーシャの部屋へ向かった。


彼女と二人きりで話したかった。


皇女として彼女が国にをどのように思っているか。


そして結婚について。


(直接話すことで彼女の本当の気持ちを知ることができるなら……)


自分も元帥として腹をくくらなければならない。