久遠の絆

「ま、待ちなさいよ!!」


ぼやける目で必死に兵士の後を追いながら、蘭はあらん限りの力を振り絞り声を張り上げた。


けれどその声は雪に吸い込まれ、木霊にすらならなかった。


兵士たちは笑いながら車に乗り込み、行ってしまった。







しーーんと静まり返った山。


春には草原となる場所であろうに、今は一面の銀世界だ。


何もない。


小動物すらいない。


寒さばかりがつのる。


蘭は震えながらゆっくりと起き上った。


この寒さで腫れたところの痛みは引いたような気がするけれど、いいところと言えばそれだけだ。


このままだと、いずれここで果てるだろう。


傍らに投げ捨てられていた防寒着をとりあえず羽織る。


けれどそれすら意味をなさないほどの寒冷地だ。


「もう、だめだよ……」


どうしてこんな仕打ちを受けなくてはならないのか。


ヘラルドが憎い。


でも憎んでも仕方ない。


だけど憎い。


「憎いよ。大嫌いだ」


そして、こんな過酷な運命を背負うことになった自分までも、蘭は疎ましく思うのだった。


(もう、このまま死んじゃった方が楽だよ……)


怖いくらいの静寂の中で、蘭はその場にずっと立ち尽くしていた。