久遠の絆

北も南も、右も左も何も分からなくなってどのくらい経っただろう。


車はようやくエンジンの音を止めた。


「よし、着いた~」


運転席の兵士が伸びをした。


「すっげえ、雪だな」


「こんなとこ、ずっといたらやばいぜ」


「ああ、でも命令だしな」


ふたりが車を降りる。


そして蘭の頭側のドアが開けられた。


「降りろ、つっても自分では無理だな」


よいしょという掛け声もろとも両脇を持たれ、車の外に引っ張り出された。


そしてそのまま雪の上に放り出される。


どしゃっと新雪を頭から被った。


「冷たっ!」


思わず声を上げると、兵士ふたりから失笑が零れた。


「そりゃ冷たいだろうさ」


「特別にここの場所だけ教えておいてやろう。まあ、覚えたところで役には立たんかもしれんがな。
ここはガルーダの首都のずっと南にある山脈の中腹だ。寒さも半端じゃねえ。一応手足の縄は解いてやるから、何とか生き延びろよ」


蘭は兵士の話を一瞬理解できなかった。


(何言ったの?)


寒いはずだ。


雪質も首都のものとは格段の差がある。


さらさらとした綺麗な雪。


けれどそれは怖ろしい事実を物語るものだった。


「生き延びろって、こんなとこにいたら死んじゃうに決まってるじゃない……」


「ええ、でも、ヘラルドさまはそんなヤワな奴じゃねえって仰ってたぞ」


「防寒着だけは置いといてやるから、せいぜい頑張りな」


そう言い残して、兵士たちの足音が遠ざかって行く。