久遠の絆

「つ……」


痛みに思わず声を出してしまった。


「お、起きたか。これからしばらく俺達とドライブだぜ」


ということは、ここは車の中なのだ。


いつの間にか手を足を縛られていて、頭を動かすことしかできない。


それも痛みを伴うため僅かな動きだった。


エンジンが掛かり、車が動き始める。


「ど……こに、行くの……?」


運転席と助手席に兵士はいるらしい。


ぼんやりとした視界の中で、ふたりが顔を見合わせたのを感じた。


「すっげ~綺麗な所、とだけ言っておこうか。きっと気に入るさ」


(そんな所、行きたくない)


そう叫んでんしまいたかった。


けれどもし抵抗すれば、どのような制裁をされるか。


(これ以上痛いのは嫌だもん)


一方的な暴力は、肉体だけでなく心まで傷付ける。


もう、たくさんだった。


(シド……今頃どうしてるんだろう)


こんな時でも気がかりなのは彼のこと。


あんな状態の彼を、ヘラルドの傍に置いておくなんて心配でならなかった。


(わたしよりもずっと年上の、大人の人を心配するなんておかしいけど……)


けれどカイゼライトもいなくなり、自分もこれからどのような処遇を受けるのかまったく分からないだけに、彼を本当に理解してくれる人が傍にいなくなるということは不安だった。


(あ~、痛い)


車が揺れるたびに、腫れた部分を車のシートやドアに打ち付けた。


(もう嫌だ。こんなこと)


あっちもこっちも悪くなる一方で、ちっとも希望なんかないように思える。


この世界を救うなんて、到底無理なんじゃないか。


またその思いが蘭の中にもたげて来ていた。