久遠の絆

雪は随分積もっていたが、装甲車が道を作っていてくれたおかげで、蘭は難無く雪道を走ることが出来た。


踏み固められた轍を行く。


冷え切った空気が頬をなぶり、たちまち痺れたように痛くなった。


けれどそんなこと気にしていられない。


一刻も早くカイゼライトに会いたかった。


息が上がり、何度も足を止めた。


今ほど自分の持久力のなさを嘆いたことはない。


(もっと体力付けなきゃ)


それだけでなく、固められた雪は滑りやすくなっている。


それにも足を取られながら、蘭は懸命に走った。


30分近く経った頃。


ようやく本館の近くに辿り着いた。


この周辺はさすがに雪掻きがなされていて、走るのが随分楽になった。


(あと……少し……)


自分でもよく走ったと感心するくらいだ。


本館を回り込んだ先の、ひっそりとした場所に、カイゼライトが部屋を与えられている別館がある。


そこは人がめったに訪れることのない、閑散とした所だった。


誰も通らないのかと思うほど埃の積もった廊下を行くと、迷うことなくカイゼライトの部屋に辿り着いた。


ほっとして、深呼吸しながらノックしようとした。


しかし蘭の手はそこで止まる。


「何……これ……」


蘭はかすれた声を漏らした。


「何なのよ……」


答えの返らない問いを繰り返す。


呆然とする蘭が見たものとは。


何枚もの大きな木の板が打ち付けられた、カイゼライトの部屋の扉だった。