久遠の絆

◇◇◇






「確かめなきゃ」


装甲車の音も聞こえなくなってから、蘭は決意を込めてそう言った。


この違和感の正体がなんなのか。


そして。




『欺いたこと後悔させてやる』




去り際ヘラルドが言い残した言葉。


(わたしが欺いた?ヘラルドを?いつ?どこで?)


考えてみたが、いっこうに分からない。


(それとシドの人格が変わることに何か関係があるの?)


心配するでもなく、口を歪め笑っていたヘラルド。


あの顔は嫌でも当分忘れられそうになかった。


夢にも出て来そうだった。


(シド……)


辛そうに頭を抱えていた。


あの優しい人が。


元貴族らしく上品な人が。


あんなに変貌して。


蘭はなんだか悔しくなって口元をきゅっと結んだ。


(どうしよう。どうしたらいいの?)


彼の病気を治したくて傍にいたのに、より酷くなってしまったという現実。


(でもきっと何か糸口があるはずなんだ)


諦めたくなかった。


シドを。


優しいシドを取り戻したかった。


(俺様なんて、シドには似合わないよ……)




『欺いたこと後悔させてやる』




またあの言葉が頭を過ぎった。


(やっぱりおかしい……)


ヘラルドの一挙手一投足がひっかかることばかりだ。


(ここでじっとしていても何も変わらないよ)


そう自分自身に言い聞かせた。


(でもどこから手を付けていいのか……)


「あっ!」


自分で上げた声に、蘭は自分で驚いた。


他には誰もいないのに、思わず手で口を覆った。


そして小さな声で、

「カイゼライトさんだ……」

と呟いた。


(そうだよ。なんでもっと早く気付かなかったんだろ。シドのことはカイゼライトさんに相談すればいいんじゃない)


そう気付いてからの蘭の行動は素早かった。


二階に駆け上がるとクローゼットを開け、厚手のコートを取り出した。


そしてそれを着ながら階段を駆け降りると、玄関扉に体当たりするように外へ飛び出したのだった。