久遠の絆

◇◇◇






二階の部屋で、蘭は雪を見るとはなく見ていた。


逃げるようにして部屋に戻ってきたけど、それが何だかシドに申し訳なかった。


「もっと普通にして良かったのに」


つい自分をなじる言葉が口をつく。


その時だった。


階下でドサッと何かが倒れる音がしたのだ。


「え、何?」


悪い予感がした。


急いで部屋を出て、階段を滑り落ちそうになりながら駆け降りる。


階下はしんと静まり返っていた。


恐る恐る居間の扉を開けると、ソファの陰に倒れている人。


艶やかな漆黒の髪が乱れていた。


「シドっ!!」


慌てて駆け寄ったものの反応はない。


「シドっ、シドっ!」


揺さぶってもし頭に影響したらと思い、頬をペチペチ叩いた。


それでも意識が戻らないから、少し強めに叩いてみる。


すると。


「いってぇな」

と至極不機嫌な声がした。


「シド!大丈夫っ?!」


シドはむくりと起き上がり、鋭い視線を蘭へ向けた。


それは総帥としての鋭さとはまた違う、黒い色彩を帯びたものだった。


「だ……いじょうぶ?」


蘭は躊躇いがちに声をかけた。


「……」


シドはじっとりとした目で蘭を見つめたまま。


「あのう、もしもし起きてますか~?」


淀んだ空気に耐え切れず、冗談めかして目の前で手を振ってみる。


するとシドは無言のままでいきなり、目の前で振られる蘭の手首を掴んだ。


あまりに強い力に蘭は驚いて手を引っ込めようとしたが、シドは力を緩めることなく離そうともしなかった。


「痛いよ、シド」


「シドじゃねえだろ。シドさまと呼べ」


「は?」


高圧的な態度にカチンときて睨むと、シドは深々と溜め息をついた。


「あ~あ。起こされるならもっと美人が良かったのにさ。なんだってこんな」


「こ、こんな何よ。シドどうしちゃったのよ」


「だから、シドさまだっつんてんだろ」