久遠の絆

◇◇◇






居間に取り残されたシドは思い切り渋面だった。


蘭にはなんとか無表情で応じたものの、胸の内は千々に乱れていた。


(失敗した……)


先程からそのことしか頭にない。


当然雪景色なぞ楽しんでいる筈はなく、窓の側に立っていたのは、蘭に動揺を気取られまいと彼女から離れていたからだった。


蘭が階段を駆け上がり、部屋の扉が閉まる音が聞こえると、シドは渋面のまま窓辺を離れ、先程まで蘭の座っていたソファに倒れ込むようにして腰掛けた。


「はあ~~~~」


長くて、大きな溜め息。


彼が溜め息をつくなどめったにないことだが、この時ばかりはつかずにはいられなかった。


(失敗した……)


22年生きてきて、これ程女の子の扱いに気を遣ったことがあっただろうか。


それなのに。


彼女の背後に立ち、流れる黒髪を見ていると。


そして。


早口でまくし立てる彼女がたまらなく愛しく思えて。


一瞬の気分の高揚。


その結果。


失敗した。


(明らかにおかしいと思っていたよな。あいつ)


だからこそ二階に上がってしまったのだ。


「あ゛あ゛~、もう」


他人が聞けばギョッとするような声を出して、シドは肩まである漆黒の髪をガシガシ掻き回した。


そしてそのまま頭を抱える。


「どうしたもんかな……」


今ならはっきり分かる自分の気持ち。


それまでは漠然と心の中にはあったけれど、はっきりとはしていなかった。


でも今は自覚した。


(失敗して気付くなんて、俺も間抜けな……)