久遠の絆

「びっくりした……」


カップにお茶を煎れながら蘭は呟いた。


(シド……絶対キスしようとしてたよね……)


そう思うだけで、頬が熱くなる。


(ええっ?!なんで?なんで?)


混乱して、もう少しでお茶をカップから溢れさせるところだった。


気を落ち着かせるために、胸に手を当て深呼吸した。


(落ち着け、わたし。きっとあれは挨拶みたいなもので、深い意味なんてないんだよ。あるはずないしっ!
そう挨拶、挨拶!
日本人のわたしに免疫がないだけっ!)


無理矢理自分自身を説得した。


そうすると幾分気持ちも落ち着いたようだった。


(よし。平常心!変に意識したら、シドもおかしく思うよね)


カップを手に、居間にいるシドの様子を伺ってみる。


シドは窓枠にもたれて外を見ていた。


蘭からは顔は見えない。


彼が何を思っているか、窺い知ることは出来なかった。


「雪、まだ降るかな?」


さりげなさを装いながら話しかけてソファに座り、何食わぬ顔でカップに口を付けた。


シドはゆっくりとこちらを見た。


そこには何の表情も浮かんではいなくて。


いや、むしろ、あらゆる感情を押し殺した上での無表情といった方が合っているかもしれない。


そんな微妙な顔を彼はしていた。


「シド?」


「雪が降れば、ここでの缶詰生活が延びるけど、いいのか?」


「え……?」


「そうなった場合、俺はお前の安全を保証できる自信がない」


「シ、シド、それはどういう……」


意味?