久遠の絆

「よし、じゃ、片付けるか」


「今日は洗い物、わたしがするよ」


世話になりっぱなしでは申し訳ない。


「いい、俺がやる」


「わたしがやるって。もう元気になったんだもの」


「だめだ。お前はあっち行って座ってろ」


そう言うとシドは、蘭の手の中にあった皿を奪って、台所へと入って行ってしまった。


それもシドの優しさなのだと思うけれど。


(ちょっと意地っ張り?)


ふたりきりで過ごせば過ごすほど、彼の意外な姿を目の当たりにする。


蘭は男性とこれほどまで親しくなったのは初めてだった。


あちらの世界での体験から、男性を拒絶してしまうところがある。


けれどシドは。


(ちっとも嫌な感じがしない)


それは彼の性質の清廉さゆえだとするなら、彼と出会えたことを感謝するばかりだった。


居間の窓辺に立ち、カーテンを開けた。


(うわ、すごい積もってるっ)


今朝は降り続いていた雪がやみ、弱い冬の日差しが降り注いでいた。


一階の窓のすぐ下まで積もった雪はその日に照らされ、キラキラと輝いている。


「これじゃ、当分ここに缶詰めだな」


いつの間に洗い物を終えてこちらに来たのか、不意にシドの気配を背中に感じた。


振り向こうとしたがあまりに彼が近くにいて、そうすることが出来ない。


蘭は背中で彼を感じながら、「そ、そうだね」と半分上の空で答えた。


背中が妙に熱い。


(意識しすぎだよ、わたし)


さっきまでこんなことはなかったのに、この距離間のせいだろうか。


彼の鼓動まで聞こえそうなくらいの近さに、蘭は思い切り照れていた。