久遠の絆

「ねえ、シド」


食卓の上の料理をあらかた食べつくした後で、蘭が思い出したように言葉を発した。


「ん?」


シドは食後のお茶をすすっている。


「……カイゼライトさんとは、ちゃんと会った?」


「……」


「今回わたしとシドが出会えたのも、元はと言えばカイゼライトさんのおかげでしょ。それ以上に、わたし、ふたりには仲直りしてもらいたいんだ」


シドはカップに口を付けたまま、目を伏せてしまった。


やはりカイゼライトの話題は彼にとって禁忌なのだろうか。


むっつりと黙り込んでしまったシドの様子に少しひるんでしまったが、カイゼライトと仲直りしてほしいという気持ちは本物だ。


蘭は勇気を出して、この話題を続けることにした。


「カイゼライトさんは、シドのことを本当に考えてくれてるよ。大事な弟だって。それは、シドもそうでしょ?
……ほんとにカイゼライトさんのこと嫌ってるんだったら、とっくにカイゼライトさんを追い出してるはずだもん。そうしないでここに住まわせてるってことは、やっぱりシドもお兄さんだって思ってるんだよね?」


「……」


黙ったままのシドは明らかにこの話題を拒絶しているように思えた。


蘭は落ち着かなくなって、あっちを見たりこっちを見たり、きょろきょろしている。


その時暖炉にくべてある薪がパチンとはぜた。


その音を合図にしたように、シドはカップのお茶を一気に飲み干して、タンとテーブルに置いた。


「シド?」


「どうして、そんなに俺と兄貴を仲良くさせたいんだ?」


「余計な口出しだってことは分かってる。でもね。仲悪いよりはいい方がいいでしょ?」


「それだけ、で?」


「わたし一人っ子だから、いまいち兄弟ってどんな感じか分かんないんだけど。
でもシドたちは、どんな事情があるにせよ、せっかく兄弟として生まれてきたんだから……。
昔何かがあったのだとしても、大切なのは今だもん。
過ぎてしまったら、もう今を取り戻すことは出来ないんだよ」