久遠の絆

「もう準備は出来てるんだ。もしまだ歩けないようなら俺が……」


「あ、歩けます!歩けます!」


今まで布団に潜り込んでいたのが、がばっと勢いよく起き上がり、すぐさまベッドを下りて立った。


呆気に取られたように目をしばしばさせているシドに、「ほらね」と得意そうに言う。


ややしてシドは苦笑混じりに「そうだな」と呟いた。


「じゃ、クローゼットに着替え入れてるから、着替えて下りて来いよ」


「うん、わかった!」


明らかに空元気だと分かるけれど、シドはそれ以上何も言うことなく部屋を出て行った。


それを見送ると、蘭はほーっと深い溜息をついた。


なんとかお姫様抱っこを免れて気が抜けてしまったのだ。


「着替えよ」


気分を変えるようにそう言って、クローゼットを開けた。


そこにはさまざまな衣装が掛けられていた。


(シドが?)


これだけの物を?


いつの間に用意していたのだろう。


蘭の部屋にあった服は一着もない。


(シドって……こまめ……)


改めてそう思った。


そのこまめさが蘭限定だということに彼女が気付くことはない。


その衣装の中でもっともシンプルな色合いの、動き易そうなドレスを選び身に着けた。


まるで採寸して仕立てたみたいにぴったりだった。


(ちゃんとお礼言おう)


そう思ってから、昨日とは打って変わって足取りも軽やかに階段を下りていった。