久遠の絆

シドといて、彼と食事をした。


明るいランプの光と、温かなスープのイメージが甦る。


それから?


それから……。


カチャカチャと食器を片付ける音。


(そうだった)


その音を聞いてると眠くなって。


けれど、そこで浮かんできたのは漆黒ではなく、黄金の髪のイメージ。


(あれ……なんで?)


シドといたのに。


(なんで、ここで、あの人のこと思い出さなきゃいけないの?)


今一番思い出したくない人だというのに。


「いやだなあ」


ふと口をついて出た愚痴めいた言葉に、蘭はギュッと瞼を閉じた。


また心の傷がきしきし軋む。


彼のことを思えば、小さな傷がまるでひび割れのように心に刻まれるのに。


(こんなの、恋なんかじゃない)


自分が傷付くだけの想いなんて。


彼のことを考えるだけで、あんなにも優しい気持ちになれていたのに、今はそうじゃないのだから。


(こんなの、恋じゃない)


蘭はそう思い込もうとしている。


自分がこれ以上傷つかないための予防線。


彼女は閉じた瞼の裏で、それを必死に張ろうとしていた。