久遠の絆

◇◇◇







目覚めても、蘭はそこがどこか思い出せずにいた。


じっと布団に潜り込んだまま、働かない頭を無理矢理回転させている。


(ここは……)


何故思い出せないのか。


霞が掛かっているように頭がぼんやりしている。


体の向きを変えてみた。


その時ベッドのスプリングの硬さがいつもと違うことに気が付く。


いつもよりも硬めだった。


(えっと……)


意識を凝らして考えてみるけれど、なかなか記憶の糸を手繰り寄せることが出来ない。


(なんで、こんなにぼんやりしてるんだ?)


分からなかった。


もう一度仰向けに戻る。


溜息をつきながら天井を見上げていると、それもまたいつもとは違うことに気付いた。


木の肌も露わな、まるでログハウスのような天井。


蘭の部屋の装飾の施された豪華な天井とはまったく違っていた。


(あれ……やっぱここって知らないところ?)


自分はまた何者かに連れ去られたのだろうか。


そんな風に考えてみる。


けれど、そうではないだろうと、頭の中でもう一人の自分が否定する。


連れ去られたにしては、この部屋の雰囲気は柔らか過ぎた。


すると、ぷーんといい匂いがしてきた。


部屋の扉の隙間を抜けて入り込んで来たその匂いは、蘭の鼻孔をくすぐり、同時に霞の向こうにあった記憶をも呼び覚ました。


(そうだ。わたし、シドといたんだ!)