久遠の絆

暖炉の火を見つめたままびくっと肩を強張らせたシドは、それからゆっくりと頭を巡らせ蘭を見た。


彼女はいまだ安らかな眠りの中だった。


(だが今蘭は確かに奴の名を……)


胸をえぐられるような痛みを感じていた。









何故、今


奴の名を呼ぶ必要がある?



何故、そんなにも


優しい顔をして微笑むのか




奴は


カイルは


お前にそんな表情をさせるほど


お前にとって大事な存在だったというのだろうか



俺にとってのお前がそうであるように?









(だが、渡さない)


今度は背後から暖炉の火に照らされながらシドは強く思った。


(渡すかよ)


初めて得た安らぎを。


心惹かれた少女を。


最大の宿敵である黄金の髪の青年に?


シドは浅く笑っていた。





「渡すわけないだろ」



漆黒の瞳が好戦的に輝いていた。