久遠の絆

勢い良く燃える火は見ているだけで気持ちまで暖かくなってくる。


その暖かさはそのままシドの温かさのような気がして、蘭は自然と微笑んでいた。


先程までの虚ろな気分が嘘のようで。


シドがいてくれて良かったと心底思った。


そんな温かい気持ちでその火を見ていると、そのうちうとうとしてきた。


やはり疲れているのか瞼が重い。


蘭はシドが居間に入ってくる頃には眠ってしまっていた。


それでも。


それなのに。


夢に出てくるのは黄金の髪をした青年で……。








ソファに座ったまま眠ってしまっている蘭を見たシドは立ち止まり、どうしたものかと一瞬視線を遊ばせたようだった。


(二階に連れていくか……)

と考えたものの、その寝顔がとても安らかだったから無理に動かすのも躊躇われた。


(とりあえず寝かせとくか)


そう定めて、暖炉の前の敷物の上に座った。


眠る蘭のために極力明かりは落としたために、部屋の明かりはほぼ暖炉の火だけと言っていい。


そんな薄暗い中、踊る火はシドの顔だけを明るく照らす。


秀麗な面立ちがいっそう陰影深く映し出された。


けれどシドの意識は。


火のぬくもりではなく、後ろで眠る少女へと向けられていた。


まるで背中にすべての神経が集中しているように、じんじんと鈍い痺れを感じるほどに、蘭のみを感じていた。


不思議だった。


こんなにも、この少女を愛しいと思うようになるとは。



(誰にも渡したくない)



女性に対してそんなことを思ったのも初めてで戸惑いもあった。


でも。


だからこそ。


蘭という少女は自分にとって特別なのだと思える。


(もし蘭もそう思ってくれるなら……)





しかし。


運命というものは残酷だった。


その時蘭が吐息のように漏らした寝言に、シドは肩を強張らせた。