久遠の絆

「ごちそうさまでした」


しばらく二人は無言で食べ続けていた。


その沈黙を破ったのは蘭だった。


スープ皿のものはあらかたなくなっている。


「もういいのか?もう少し、っても、いきなり詰め込むのも良くないしな。よろしい。頑張って食べたな」


「ありがとう、シド。ほんとに美味しかった」


シドは優しく笑んで、「あっちで休んでろ」と言って立ち上がり、蘭のほうに来ると、

「また連れてってやるから」

と誘うように両手を差し出した。


「え……なに?」


まさか。


またお姫様抱っこ……?


シドはそうそうと頷いた。


「い、いい!大丈夫。自分で行けるから」


「遠慮すんなよ」


「してないけど、でも元気出たから大丈夫」


「そうかあ?」


シドは思い切り残念そうな声を出して腕を下ろした。


「うん。ほら、ね」


蘭はピンと立って、居間に向かって歩いて見せた。


「なら……そっちで休んでろ」


「うん」


シドはまだ残念そうにしながら、食器を片づけ始めた。


「ありがとね」


感謝を込めて蘭はそう言い置くと、居間に行きソファに腰掛けた。


外はもう随分冷え込んでいるのだろう。


カーテンの隙間から冷気が忍び込んできている。


背もたれに掛けてあった毛布を肩から被ると、蘭はじっと暖炉の火を見つめた。